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硝子の羽根の欠片

なのはに最近熱を入れている二次創作SSサイト。
オタクとか百合とかに興味がない方は見ない方が吉。
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キミがボクの心を支配するの対になるなのは視点。
時間軸的にはこっちが後。支配〜の方を見てないという方は、そちらをご覧になってからの方がいいかも。単独でも十分読めます。





 そっと私の髪を撫でる手も、優しく抱きしめてくれる手も、私はとても好き。
 時に私を癒してくれて、時に私を励ましてくれる……。
 ねぇ、あなたがいてくれるから、私は飛べる。
 私は夢へと傷つくことを恐れず進める。
 あなたは謙遜するけれど、私だけの力だって言うけれど、私は本当はとても臆病だから。
 一人じゃなにもできない。

 あなたのその優しい瞳に見つめられて、ドキドキするこの胸で暖めた気持ちは……いつか言ってしまいそうで。
 あなたの笑顔をいつだって、近くで見ていたいよ。
 ……けれどあなたは、時折とても寂しそうな目をするね。
 私にはとても遠い距離があなたとの間にある気がして、あなたの腕にすがりつきたくなる。
 あなたはどんな反応をするのかな……。
 私の中にあるこの想いは、きっとあなたの知る私じゃない。



 また知らず知らず考え込んでいたらしい。
 最近はヴィータちゃんに指摘されることが増えていたから、気をつけていたつもりだったんだけど。
 あの人に疲れた顔をしている、なんて言われた時はどきっとした。
 あの人にだけは……知られたくないから。
 じゃあ他の人はどっちでもいいのかって考えたら、やっぱり知られない方がいいとは思うのだけど。あの人に知られないことが、一番だから。
 知られて、嫌われることが何より恐い……。

 夢に見るんだ。
 一緒に空を飛ぶ夢。けれどあの人は少しずつ速度を落としていってしまう。
 それが狙ってされていることなのか、それとも私が早過ぎるのか。
 そして失速は進み、あの人は落下してしまう。私が慌ててその後を速度をあげて追いかけても、あの人はなぜか私より早い速度で落下していき、やがて真っ暗な世界へと落ちてしまう。
 後を追ってその暗闇へ入ろうとしても、どうしてか私はそこに入れない。
 そんな夢。
 あの人は私が高い空にいるのが好きだって、知ってる。
 けれど、私が本当に好きなのは、高い空を“あの人と一緒に”飛ぶこと。

 あの人がいない空は、とても不気味なんだ。
 どこまでもどこまでも続く青は、私をまるで追い詰めているように感じてしまう。青は、好きな色だけど。
 あの人が黒にいるのなら、私は黒に染まりたい。黒は、苦手な色だけど。
 伸ばしてくれる手が、私を気遣うように触れるぎりぎりまでしか伸ばされない時、私はその温もりで包まれたいと、ぐちゃぐちゃにされたいと思ってしまう。
 そんな私は、あの人が思う私じゃないんだろう。
 あの人の親友の私は、ずっと高い空を目指す私なんだから。
 高い空は好きだけど、そこを飛ぶのは確かに私の夢だけど、あなたより大事な夢なんかない。


 気付けば、あの人の腕の中でまどろんでいる私。
 耳元で、ずっとそばにいると、囁かれた気がするこれは夢……?
 いいんだ、一緒にいてくれなくても。一緒にいて欲しいけれど、一緒じゃなくていい。
 けれど今は、このぬくもりに包まれていたい。
「……フェイトちゃんはね……暖かいの」
「なのは……?」
 戸惑うあの人の声さえ、私の胸は反応して切なくなる。
「ずっと……ずっとここにいたいって……、フェイトちゃんの腕の中にいたいって……思うの」
 そう、私は半分夢の中だから。
 あなたのぬくもりに溶かされて、まともな思考が出来ないから。ちょっとだけ、本音が混じってもわからないよね?
「……そっか、なら、ずっといてくれればいいよ」
 答えたあの人の声は、戸惑うような、悲しそうな声だった。
「うん……、私はフェイトちゃんのぬくもりと、優しく撫でてくれる手が好きなんだ……」
 呟く私をあやすように、あの人は私の頭を撫でてくれた。


 ごめんなさい、あなたを困らせて。
 たとえまどろみにいる私の言葉でも、あなたは真面目に考えてくれてしまうよね。
 けれど、私の本心です。
 もっと言ってしまうなら、私は優しく包まれたいわけじゃない。
 あなたにきつく抱きしめられたい。壊されたい。
 私が空を飛ぶ力なんか、あなたがいてくれるならいらない。
 だって、気づいてしまったから、あの日に。
 初めてあなたを見たあの日に、私はあなたを求めていたんだって。
 始めからはっきりわかっていたわけじゃない。けれど、大きくなるにつれて、あの時の想いの意味を理解していった。

 私の髪を撫でるその手も、時折私を受け止めてくれる胸も、その切れそうなほどの真紅の瞳も、私はずっと焦がれてる。
 いつもあなたは私に優しくしてくれるから、その優しさに甘えそうになってしまう。
 泣いてすがって求めれば……そんなことを、考えてしまうよ。

 あなたが自分のことをどこかで認めていないことを知っているよ。
 望んで生まれた存在じゃないから、普通の人間じゃないから……って。
 リンディさんやクロノくん、エイミィさんと家族になって、普通に笑うようになって。けれど今でも、ずっとそう思っているんだよね。
 私が手を差し伸べれば差し伸べるほど、あなたは困ってしまう。手をつかむか、手を払うか、どちらが正しいのかって。
 あなたが戸惑うから、あなたを追い詰めてしまうから、私は踏み出せない。
 こんなに心はあなたに囚われているのに、言葉にできない。行動にできない。しちゃいけない。
 だから私の胸の中で、どんどん募っていくのです。あなたへの想いばかりが。


 ふと、目が覚めた。
 あなたは私に抱きしめられたまま、出会った頃のような寝顔を晒している。
 とくんっ…と胸は高鳴り、そして切なくなる。
 私の背中に回されている手は、私の熱を上げるんだ。私の気も知らないくせに、無防備な寝顔も見せてくれちゃって。

 あなたが傷つくのは嫌だ。
 あなたがどこか光のない暗闇ばかりのところに行ってしまうのも嫌だ。
 私を置いて、どこかへ行ってしまうことが嫌だ。
 あなたのいい思い出なんかになりたくない。
 あなたの昔の友人にだってなりたくない。
 私は今がいい。
 隣に居続けたい。
 あなたにとっての今の存在であり続けたい。
 あなたがいない空にいるよりは、あなたと一緒に堕ちていきたい。
 たとえその先が地面で、たたきつけられるのだとしても、最後の瞬間まであなたと一緒にいたい。

 言葉にしてしまえば、きっと一言。
 世界が出来た時から使い古された、ありきたりの言葉。
 けれどそんな簡単には片付けたくない。
 その言葉はあなたを悩ませ蝕む刃となってしまうから。
 私の積もりに積もったこの想いは、一言では表しきれないから。
 きっと踏み出したら止まれない。
 そしてあなたは傷ついてしまう。だから秘密にしておくんだ。

 こみ上げる何かに泣きそうになりながら、私は眠っているフェイトちゃんに一瞬の口づけをした。


END
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Comments:

「私は今がいい」っていう台詞に胸が締め付けられました。すごく切ないですね。ホント二人には幸せになって欲しいです^^;
comment by: じょー | 2007/09/05 12:19 PM
今放送中のStSでの二人の状況も険しいところのなので、本当に二人には幸せになって欲しいですね。こんなの書いてる私が言う台詞じゃありませんがw
「私は今がいい」というのはふっと浮かんだフレーズでしたが、自分でも気に入っています。このあたりは…もしあれば続きで触れられたらと考えてます。
comment by: 維 | 2007/09/05 11:07 PM

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